ギター_ピックの素材
セルロイド(Celluloid)
素材について
セルロイドとは、ニトロセルロースと樟脳(しょうのう)などから合成される合成樹脂です。
- 樟脳は、クスノキの木片を水蒸気蒸留して製する結晶です。
- ニトロセルロースは、セルロースを硝酸と硫酸との混酸で処理して得られる化合物です。
- セルロースは、食物繊維の一種で、植物などからつくられる。植物の細胞壁の主成分で、ブドウ糖(グルコース)が結合して生じた多糖類の一種。
合成樹脂なので広義にはプラスチックの一種と言えますが、プラスチックが石油を原材料としているのに対し、セルロイドの材料であるセルロースは植物から生成されることから、厳密にはプラスチックではない物質と言えるのかも知れません。
ピックとしての特徴
クセがなく扱いやすい素材。昔からどこの楽器屋でも売っているため、同一素材の商品を入手しやすい。
耐摩耗性は高くないため削れやすい。
デルリン(Delrin)
素材について
デルリンは、アメリカの化学会社「デュポン(Du Pont)」が1956年に開発した「ポリアセタール」というエンジニアリング・プラスチック素材です。
開発したデュポンによってデルリンの商標が登録され、ポリアセタールではなくデルリンの製品名で知られるようになりました。
耐熱性、耐摩耗性に優れ、様々な工業品に活用されている素材です。
(※ライター等で有名なデュポンはS.T.Dupont社で、別の会社です。)
ピックとしての特徴
耐摩耗性は高く、削れにくい。
音は、セルロイドよりも明るめで、硬めという印象です。
トーテックス(Tortex)
トーテックスは、ジム・ダンロップ(JimDunlop)社がデルリンに独自の表面処理を施し命名したものです。
表面がザラついた感触で、指から滑り難くしたデルリンピックといえます。
昔からどこの楽器屋でも販売していて、同一商品を入手しやすいといえます。
ジュラコン(DURACON)
素材について
ジュラコンは、1961年にアメリカCelanese社(現Ticona社)によって開発され、ポリプラスチックス社によって販売される「ポリアセタール」というエンジニアリングプラスチックです。
ポリアセタールは、分子構造によってホモポリマーとコポリマーの二種類に分類され、デルリンがホモポリマーであり、ジュラコンはコポリマーです。
自己潤滑性があるため、金属との摩擦係数が低い特徴があります。
ピックとしての特徴
耐摩耗性は高く、削れにくい。
音質はデルリンとほぼ同じ印象を受けます。ただ、表面加工によって音の印象が結構変わります。
ポリカーボネート(Polycarbonate)
素材について
ポリカーボネートは、ドイツ化学工業製品メーカー「バイエル社」が開発したプラスチック素材です。
高い透明性を持ち、アクリル樹脂などと共に有機ガラスとも呼ばれます。
ポリカーボネートは、プラスチックの中でも最高級の耐衝撃性を持ち、耐候性、耐熱性に優れた素材です。
CDやDVDメディア、サングラスやゴーグルなど、日常の様々な分野で非常に多く使われています。
ピックとしての特徴
アタック感のハッキリしたシャープなサウンドになります。
削れにくく、長く使用できます。
手触りはツルツルしていて、指から滑ります。
ウルテム(ULTEM)
素材について
ウルテムは、1982年にゼネラルエレクトリック社が商標登録したポリエーテルイミド樹脂系エンジニアリング・プラスチックです。
頑丈でありながら柔らかいという特徴があります。
ピックとしての特徴
爪の音に似ていると言われ、音は柔らかく、ニュアンスがよく出る感じです。
弾力があり、爪で弾いた時の弦に引っかかるような感触があります。
ウルテックス(Ultex)
ウルテックスは、ジム・ダンロップ(JimDunlop)社が販売しているウルテム素材の商品名です。
ナイロン(nylon)
素材について
ナイロンは、アメリカの化学者カロザースが発明し、デュポン社が工業化した、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの縮合重合により得られる合成繊維です。
また、それと類似の構造をもつ一群のポリアミド系合成高分子の総称でもあります。
ナイロンは、繊維状にも加工ができるプラスチックであり、女性用ストッキング・衣料・漁網・ロープなどに広く用いられています。
ピックとしての特徴
曲げ、圧縮に対する弾性に優れています。しなりやすく、アタック感も柔らかくなります。
地域によって同一商品が見当たらないことが多く、常用困難な印象があります。
鼈甲(べっこう)
素材について
べっ甲はタイマイと呼ばれるウミカメの甲羅を加工して作る天然素材。
ピックとしての特徴
ピックとギターの弦がこすれる音が小さく、プラスチックよりも自然な音が出る印象があります。
それほど耐摩耗性が高いとはいえないので、高額な運用となります。
その他
下記はあまり見かけない素材です。
PVC(polyvinyl chloride:ポリ塩化ビニール)
PVCは、塩化ビニル(クロロエチレン)を重合した、合成樹脂(プラスチック)の一種です。
PPS
ポリフェニレンスルファイドという1973年にフィリップス・ペトロリアム社により商品化されたものとなります。強度や疲労特性にも優れた特徴があります。
カーボンナイロン(カーボナイロン)
フロロカーボンとナイロンの複合素材です。
TUSQ
TUSQは、GRAPHTEC社が、開発した「人工象牙」です
「タスク」と読みます。