三点見積り法について

三点見積り法とは

三点見積り法とは

三点見積り法とは、標準値、楽観値、悲観値の3つの値を予測し、それぞれ重み(期待値)を掛けて見積値を算出する手法です。
幅のある3つの想定値で工数を予想することで、より正確な見積値を算出できます。

本手法は、1950年代に米海軍で弾道ミサイル開発プロジェクトのためにPERT法(PERTチャート)とともに考案された手法といわれています。
三点見積り法は、PERT(Program Evaluation Review and Technique)分析、加重平均見積りとも呼ばれています。


三点見積り法の計算方法

1.三点の見積りを実施する

三点見積り法では、まず以下の3点の見積もり値を出します。

指定 説明
標準値 最も実現の可能性が高い値。
過去の経験から類推される、アクティビティの完了に必要であると予想される値。
楽観値 予想される最速・最短の値。
好条件が重なり、すべてのアクティビティが円滑に進んだ場合の値。
悲観値 予想される最遅・最長の値。
悪条件が重なり、アクティビティが円滑に進まなかった場合の値

例えば、類似プロジェクトを鑑みて12カ月で完成できると見積もったら「標準値=12ヶ月」とします。
理想的な開発要員がアサインでき、急な仕様変更が発生しないならば、半分の期間で完成できると見積り「楽観値=6ヶ月」とします。
要員アサインが上手くいかず、仕様未定部分が気になるため、最悪の見積もり期間として「悲観値=24ヶ月」とします。


2.期待値を計算する

次に三点見積りでは、3つの値を以下の計算式に当てはめていきます。


3点見積り値(期待値)=(標準値 × 4 + 楽観値 + 悲観値)÷ 6

例えば、標準値=12ヶ月、楽観値=6ヶ月、悲観値=24ヶ月のプロジェクトでは、以下のような計算を行い、見積りを作成します。
(12ヶ月 × 4 + 6ヶ月 + 24ヶ月)÷ 6=13ヶ月
結果として、標準値の12ヶ月より1ヶ月多い見積りの期待値が計算されます。


3.見積り値の信頼範囲を計算する

三点見積りでは、見積もった値の信頼範囲、つまり算出値の確率を計算することができます。


分散=((悲観値-楽観値)÷6)の2乗
標準偏差=分散の平方根

例えば、標準値=12ヶ月、楽観値=6ヶ月、悲観値=24ヶ月のプロジェクトでは、以下のような計算を行い、見積りを作成します。
分散:((24ヶ月-6ヶ月)÷ 6)^ 2 =9ヶ月
標準偏差:3ヶ月

さらに、確率統計値からの推定を実施します。
例えば、見積りの確率分布が正規分布の場合、下記のようなプロジェクト完了の統計値を用いることができます。


平均値±標準偏差=約7割の確率で完了
平均値±標準偏差×2=約9割5分の確率で完了
平均値±標準偏差×3=約9割9分7厘の確率で完了

以上の結果、このプロジェクトは、約70%の確率で、12ヶ月±3ヶ月で完了できると計算できます。
さらに、最悪のケースでも、45ヶ月(12ヶ月±3ヶ月×3)費やせば、99.7%の確率でプロジェクトが完了できると計算できます。


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