トップダウン見積り法(Top-Down Estimating)について

トップダウン見積り法とは

トップダウン見積り法とは

トップダウン見積り法とは、まず全体のリソース量から総予算を予想し、主要な機能や作業に焦点を当てていき、コストや工数を推定する見積り手法です。
プロジェクト全体の成果物から、機能単位やコンポーネント単位で分割(トップダウン)していき、それぞれで必要なコストや工数を推定します。

トップダウン見積り法は、プロジェクトの詳細情報を入手できない初期段階において、概算の見積りを作成するために実用的です。
したがって、WBSが作成される前段階ではトップダウン見積り法を使用し、WBS完成後に改めて他の見積り法を利用すると、正確な見積りを算出できます。


トップダウン見積り法=類推見積りではない

トップダウン見積り法は、全体の規模感から見積りを始めて、個別要素に分割(トップダウン)しながら見積りを出す方法自体を指します。
その見積りの推定方法として、なんらかの方法論を用いる形となり、例えば類推見積り法を利用します。
つまり、類推見積りはトップダウン見積り法の方法論の一つという位置づけです。
海外ではしばしば、トップダウン見積り法の方法論として、Apportionment method、Consensus Method、Ratio Methodの3つを紹介しています。


トップダウン見積り法の方法論

類推見積り(類推法:Analogous estimating)

類推見積りとは、過去に開発した類似のシステムの実績から類推して、コストや工数を推定する見積り手法です。

類推見積りは過去の参考データがあれば実施できるため、特段の準備を必要としません。
小規模プロジェクトであれば、安価で素早く、実際の数値に近い見積りが算出できる場合もあります。

ただし、類推見積りは、あくまで類似事例があって成り立つ算出方法です。
参考事例が無い場合、説得力の低い根拠のない見積りとなるので注意が必要です。

海外では、analogous methodよりもApportionment method(配分法)と呼ばれることが多いようです。
(analogousとは「類似した」という意味です。)


コンセンサス法(Consensus Method)

コンセンサス法は、上級マネージャーたちの蓄積された経験を使用して徹底的に議論し、プロジェクトの総期間とコストの最適な見積もりの合意に達し、これを見積りとする手法です。
経験や知識を有する専門家を交えて、いわゆるデルファイ法を実施して見積ることもあります。

デルファイ法(Delphi法)とは予測技法の1つであり、専門的知識や経験を有する複数人にアンケート調査を行い、その結果を互いに参照した上で回答を繰り返して、集団としての意見を収束させていく方法です。


比率法(Ratio Method)

比率法とは、比率または代理値を使用してプロジェクトの時間やコストを推定する見積り手法です。
過去の類似プロジェクトのデータを使用して、プロジェクトの主要な特徴や規模からコストを推測して、単位あたりのコストを算出します。
そして、その単位あたりのコストの比率を使用してプロジェクトのコストを見積もります。

簡単に言えば、基準値を決めておき、作業の比率に合わせて概算を出す方法です。


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