トレンドチャートについて
トレンドチャートとは
トレンドチャート(trend chart)とは
トレンドチャートとは、プロジェクトの進捗を把握するために作成される図です。
チャートは、縦軸に予算の消費状況、横軸に作業の進捗状況を設定した折れ線グラフで示します。
これにより、費用管理と進捗管理を同時に行うことが可能となります。
トレンドチャートの書き方
トレンドチャートの原点は、プロジェクト開始時点となります。
チャートの縦軸は予算消化率、つまり金額となります。
チャートの横軸は開発期間、つまり時間となります。
チャートには、予定線と実績線を記入します。
予定線は、プロジェクトを開始する前に策定した計画に基づいて、事前に想定した予算と工期の進み具合を折れ線グラフで書き入れます。
その後、プロジェクトの進捗状況から実績線を書き入れていきます。
(一般的には、見やすくするために、予定線は破線や点線とし、実績線は実線とすることが多いです。)
予算消化率について
プロジェクトマネジメントにおける予算消化率とは、期間内の予算に対して現状の進捗を計測する評価指標のことです。
予算の開始日から消化された予算の割合であり、「費用 / 予算」で計算します。
トレンドチャートの読み方
下図では、「進捗が予定どおりで,費用が予算を下回っている。」と判断します。
「マイルストーンの予定の位置」は、予算消化率が約65%、開発期間が約6.3カ月となっています。
これに対して、「実績の位置」は、予算消化率が約50%、開発期間が約6.3カ月となっています。
つまり、本プロジェクトは順調に進捗していると判断して良さそうです。
注意点
トレンドチャートの利用場面は?
(2024年時点ですが)実は、トレンドチャートの利用頻度はそれほど高くありません。
日本国内だけでなく、海外のプロジェクトでも、重要視されるチャートとしては扱っていない様子です。
コストと工数を把握するには、「EVM」手法を用いるほうが一般的であることも関係しているかもしれません。
予算消化率は低い方がいいのか?
予算消化率が予定と実績に差異がある場合、それがどういう意味を持つのかはプロジェクト毎に異なります。
一般的に考えると、「進捗が予定どおりで,費用が予算を下回っている。」ことは、費用対効果が高いことを意味します。
消化せずに余った予算というものは、基本的に会社の利益として計上されますので、業務上では良いことに思えます。
しかし、場合によっては、予算未達であることを「マネジメントが不十分である」と見られることがあります。
例えば、「予算消化」という悪しき慣習が蔓延る組織では、余った分の予算はそもそも不必要な申請であったと見なされます。
その結果、そのプロジェクトマネージャは、正しい予算を計上することができなかった、プロジェクトを予定通り進められなかったという評価を下されるケースもあります。
ただし、最近では、予算の使い切りをやめて決算剰余金を確保することを推奨するために「節約インセンティブ」という制度を実施している会社(または自治体など)もあります。
プロジェクトマネージャが低コストでプロジェクトを成功させたことを正しく評価する企業ももちろん多々あります。
ですので、予算消化率に関して一概に善悪を語れません。
関連ページ
- プロジェクトマネジメント
- 作業工程表(ガントチャートなど)
- プロジェクトスケジュールネットワーク図
- アーンドバリューマネジメント(EVM: Earned Value Management)とは
- バーンダウンチャート