調達文書について
調達文書(Procurement documents)とは
調達文書とは
調達文書とは、調達するモノ・ヒト・サービスの要求事項を定義した文書です。
つまり、プロジェクトに必要なリソースをいつ、なにを、どれだけ調達するかを定めた書類です。
調達文書は、調達作業範囲記述書と共に、納入候補からの提案を募集するために用います。
調達プロセスは、調達文書を基にして納入業者を選定し、調達交渉を行い、合意書を取り交わすという流れになります。
調達作業範囲記述書(Procurement statement of work、調達SOW)
調達作業範囲記述書は、調達で求めている内容と成果物スコープを記述した文書です。
例えば、仕様、必要量、品質レベル、パフォーマンスデータ、実施期間、作業場所、その他の要求事項などの情報を含めます。
納入候補が調達依頼されたものに対して供給する能力があるかどうかを判断できるように、調達品目に関わる事項を詳細に記述します。
また、プロジェクト完了後の調達品の運用サポートの内容についても調達SOWに記述します。
引合計画と引合とは
引合とは、商取引を想定した取引前の問い合わせのことです。
引合では納入業者からの見積りや提案を受け取ったり、入札説明会や入札公告などを実施します。
引合計画とは、引合を実施するために、調達するリソースやサービスの要求事項を定義して文書化することです。
発注先(納入業者)候補をリストアップしたり、選定のための評価基準を作成します。
引合計画の結果、「調達文書」が作られます。
調達交渉(Procurement negotiations)に向けた依頼書
情報提供依頼書(RFI:request for information)
RFIとは、納入業者(ベンダー)が保有している製品やサービスの概要などの情報を収集するための依頼書のことです。
発行者である調達者は、調達の事前準備として、システム化の目的や業務内容などを示した上で必要な情報の提供を依頼します。
RFIを発行することによって、相手方が保有する技術・経験や、実績、及び開発予定システムの実現可能性などを確認することができます。
RFIに対する納入業者からの回答は、要件定義や発注先候補の選定に利用されます。
RFIの回答を受けて、自社の要求を取りまとめた文書(RFP)を発注先候補に対して発行します。
提案依頼書(RFP:request for proposal)
RFPとは、調達者から供給者候補に対して、対象システムや調達条件などを示し、提案書の提出を依頼する文書のことです。
効果的な実現策の提案依頼を受けるためにも、調達側から技術的要件やサービスレベル要件、委託範囲、供給者への指示、契約条件、委託管理などを詳細に記述します。
要件定義を機能要件、非機能要件にまとめて、ベンダーに提示します。
複数の要求事項がある場合、重要な要求とそうでない要求の区別がつくようにRFP作成時点で重要度を設定しておきます。
供給者候補からの提案書及び見積書を入手したら、提案内容の比較評価を実施します。
そして、最適の調達先を選定して、契約締結を行います。
見積依頼書(RFQ:requests for quotation)
RFQは、調達先・業務委託先に対して、価格およびその内訳を示す見積もりを作成するように依頼する文書です。
一般的に、リソースの購入に際しては見積書の発行を依頼して、それから清算します。
その他の依頼書
入札招請書(IFB:invitation for bid)
IFBとは、調達や業務委託する場合に、納入業者に対し調達に入札するよう求める文書です。
招請書には、納入業者が入札を適切に準備するために必要なすべての情報を記載します。
入札招請は、入札提案書を提出するよう要請することです。
官公庁などでは公共事業の募集に際して、入札招請だけではなく意見招請を発行する場合もあります。
※意見招請とは、官公庁や自治体などの行政機関が入札公告に先立って、入札の仕様書案について企業から仕様書案への意見を求めることを言います。
変更依頼書(RFC:Request for Change)
変更依頼書とは、調達者から供給者に対して、契約内容で取り決めた内容に関して、変更を要請するための文書です。