リースの仕組み

リースについて

リース(lease)とは

リースとは、リース会社が利用者の希望する設備を購入し、これを利用者に貸すことで対価を得るビジネスのことです。
leaseとは英語で「賃貸借」を意味します。
リースに関しては、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」が基本指針として採用されています。


「リース取引」とは、特定の物件の所有者たる貸手(レッサー)が、当該物件の借手(レッシー)に対し、合意された期間(以下「リース期間」という。)
にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意された使用料(以下「リース料」という。)を貸手に支払う取引をいう。
(企業会計基準第13号)

リース業は、顧客に資金を貸すのではなく、顧客の必要とする設備をリース会社が代理で購入し、これを貸し出して賃料を利益とする点が特徴です。
このことは実質的に、顧客が必要としている設備投資資金を肩代わりしていることになります。
そのため、リース業は金融ビジネスとして分類されています。


リース会社が利益を出す仕組み

リースは途中解約が不可である

リースは、原則的に途中解約不可となっています。
やむを得ず途中解約する場合には、残リース料または残リース料相当額の違約金を支払うことが一般的です。


与信調査について

リース会社はリースを行う際には与信調査を行います。
与信調査とは、企業が取引先に対して商品やサービスを提供するときに、取引先が支払い能力を持っているかを判断するための審査のことです。
与信審査の結果、問題ないと判断された場合にリース契約を締結できます。

与信審査はリース会社自身が行うこともあれば、株式会社帝国データバンクや株式会社東京商工リサーチなどの信用調査会社が代行するケースもあります。


リース支払い総額について

リース支払い総額は、その設備を購入する場合よりも基本的には割高となります。
つまり、リース会社は、顧客の設備投資資金を肩代わりして、その分の金利を得ることで、利益を出す仕組みとなっています。
リース料総額を構成する項目として、一般的に以下のものが挙げられます。


リース料総額 = 物件取得価額 + 諸税 + 資金調達コスト + 保険料 + 手数料

顧客から見たリースのメリットとデメリット

リースのメリット

リースを利用する最大のメリットは、設備投資の分割支払いができることです。
設備購入資金をリース会社が肩代わりしてくれるので、企業は資金の借入れをすることなく、設備機器等を使用することができます。
一括での購入資金を用意しなくてよいため、余剰資金を別の事業費として充てることもできます。

また、税制面では、リース料を経費として計上できるメリットがあります。
機器や設備を購入すれば「資産」になるので、資産に相当する税金を払う必要があります。
しかし、リースを利用することは「経費」として扱われるため、減価償却の手続きや固定資産税の納付の必要もなくなります。

その他にも、購入の手続き、固定資産税の申告・納付、保険の手続き、物件の廃棄などの手間を省くことができるため、管理費用や担当人員の削減にもつながります。


リースのデメリット

リースのデメリットは、リース料が割高になることです。
基本的に、リース支払い総額は、購入の場合よりも割高となります。

また、物件の中途契約ができないこともリースのデメリットです。
企業側の状況変化によって設備が不必要になっても、リース期限前に解約することはできません。

場合によっては、物件の所有権がないこともリースのデメリットとして挙げられます。
リース物件の所有権はリース会社にありますので、利用者は資産を確保できません。


リース取引の種類

ファイナンシャル・リースとは

ファイナンシャル・リースとは、中途解約不能でフルペイアウトのリース取引のことです。
中途解約不能とは、リース契約に基づいてリース期間の中途において当該契約を解除することができないことです。
フルペイアウトとは、顧客がリース期間中に、リース会社がリース契約に要した資金(設備等の取得価額、資金コスト、固定資産税、保険料など)のほぼ全額をリース料として支払うことです。

つまり、賃借物件の維持管理は借り手が責任を持ち、リース料は物件の取得価額を完全にカバーするような金額となっているリース取引のことをファイナンシャル・リースといいます。
また、仮にリース期間満了前に解約する場合には、顧客はリース会社の投資額や利益を保証するようなペナルティを支払わなければならないことが一般的です。


オペレーティング・リースとは

オペレーティング・リースとは、中途解約可能であり、フルペイアウトではないリース取引のことです。
つまり、ファイナンシャル・リース取引の条件を満たさないリース取引のことを指します。

オペレーティング・リースでは、借り手はリース期間満了前でも自由にリース契約を解約する権利を有しています。
そして、リース料は、リース期間満了時におけるリース物件の残価をリース会社が査定し、本体価格から残価を差し引いた金額を算出します。
つまり、リース料だけでは設備の取得価額を満たせない金額が設定されるということです。

なぜこのようなことが可能かというと、将来価値が見込めたり、中古市場で流通できる設備を対象としているリースだからです。
オペレーティングリースの対象物件は、主に工作機械や大型装置など、一般的に残価設定が可能な物件となります。
リース終了後に返却された設備は、海外を含めた中古市場で売却することで利益を得ることができます。


リースとレンタルの違い

レンタル(rental)とは

レンタルとは、ある会社が既に所有する物品を利用者に貸すことで対価を得るビジネスのことです。
貸出期間が短期間であり、不特定多数を対象として複数回に渡って貸し出すことが特徴です。


レンタルとリースの違い

リースの場合には、リース会社が契約企業の為に新品を購入します。
しかし、レンタルの場合は、レンタル会社が既に所持しているものを賃貸するシステムであり、新品であるとは限りません。

リースの場合は、長期間の貸し出しとなり、合計の利用費は設備購入費よりも高額になります。
しかし、レンタルの場合は一年未満の短期間設定が多く、利用費は大抵の場合に設備購入費よりも安くなります。

リースの場合には、原則的に、契約期間中に契約解除を行うと違約金が必要となります。
しかし、レンタルの場合は基本的には違約金が発生しません。解約の際には、期間を再計算して料金の再設定を行うこともあります。


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