ステークホルダー分析について
ステークホルダーとは
ステークホルダー(Stakeholder)とは
ステークホルダーとは、利害関係者のことです。
企業活動によって直接的または間接的に影響を受ける全ての相手を指してステークホルダーと呼びます。
英語の「stake(掛け金)」と「holder(保有する)」が由来とされています。
直接的ステークホルダーとは
直接的ステークホルダーとは、企業に直接的な影響を与える人や組織、企業の活動によって直接的な影響を受ける人や組織のことです。
例えば、従業員、消費者、クライアント、株主、金融機関などが該当します。
間接的ステークホルダーとは
間接的ステークホルダーとは、直接的な影響はないが、間接的に影響し合うステークホルダーのことです。
例えば、地域社会、金融機関、行政官庁、政府、メディアなどが該当します。
また、自社の商品・サービスに触れたことはないものの、今後接点を持つ可能性のある生活者も間接的ステークホルダーに該当します。
ステークホルダー分析
ステークホルダーの特定
ステークホルダーの特定は、PMBOKによるプロジェクトマネジメントの立上げプロセスの1つです。
ステークホルダーの特定は、プロジェクトのステークホルダーを定期的に特定し、プロジェクト成功への関心事、
関与、相互依存、影響、および潜在的影響に関連する情報を分析し、文書化するプロセスである。
このプロセスの主な利点は、プロジェクト・チームが各ステークホルダーやステークホルダー・グループの関与
への適切な配慮を認識できるようになることである。
このプロセスは、必要に応じてプロジェクト全体を通して定期的に実行される。
(PMBOKガイドより抜粋)
最初のステークホルダーの特定は、プロジェクト憲章の作成前後で実施されます。
その後も、プロジェクトや組織に変更があった場合や開発フェーズが進んだ契機などで、再度実施していきます。
ステークホルダー登録簿
ステークホルダー登録簿とは、特定したステークホルダーの情報を登録するプロジェクト文書です。
以下の情報をまとめていきます。
・名前、組織、所属、役割など、ステークホルダーを識別するための「識別情報」
・要求事項、関与度など、ステークホルダーを評価するための「評価情報」
・組織の内部か外部か、影響度や関心度などで分類した「ステークホルダー分類」
ステークホルダー登録簿は、Excelなどの表計算ソフトやHTMLテーブルなどでマトリクス上に記載することが多いです。
例えば以下のようなフォーマットで記載します。(その時点で不明な場合には 「-」 とする)
ステークホルダー | 部門 | 役割 | 関与度 | 影響度 | 関心度 | 支持/不支持 |
---|---|---|---|---|---|---|
K課長 | 情報システム部 | プロジェクト責任者 | 高 | 中 | 高 | 支持 |
M部長 | 営業部 | 利用部門責任者 | - | 高 | - | 支持 |
L課長 | 人事部 | 利用部門責任者 | - | - | - | 不支持 |
N氏 | 人事部 | 利用ユーザ | 低 | - | - | - |
ステークホルダーマッピング(ステークホルダーマップ)
ステークホルダーマッピングとは、ステークホルダーの関係性を図式化する手法です。
プロジェクトにおけるステークホルダーの影響力や関心を図式化することで、各ステークホルダーの影響度や相関関係を分析することができます。
ステークホルダーのそれぞれの役割や利害関係を包括的に把握することで、意思決定の改善、リスクの低減、関係の強化など図ります。
権力と関心度のマトリックスは、最も一般的なステークホルダーマッピングの手法です。
- 綿密に管理(右上):この重要なステークホルダーとは密接に関わり、彼らのニーズや要望を満たすべくあらゆる努力をすべきです。
- 満足の保持(左上):不満を抱くと権力をマイナス方向に行使する可能性があるため、慎重に扱い安心させる必要があります。
- 報告の継続(右下):より協力を得るためにこまめに連絡を行います。情報が提供されないと不満を持つ可能性があるので注意します。
- 監視(左下):彼らとの関わりにそれほど時間をかける必要はありませんが、状況が変化に備えて様子を見ておきます。
関与度評価マトリックス(The stakeholder engagement assessment matrix)
関与度評価マトリックスとは、ステークホルダーと関与度をマトリックス状に視覚化する手法です。
PMBOKでは「ステークホルダーの現在の関与度と望ましい関与度を比較したマトリックス」と定義されています。
本手法のメリットは、コミュニケーションギャップを早期に発見できる点です。
関与度のレベルは、以下のの5つに分類されます。
関与度 | 説明 |
---|---|
不認識 | プロジェクトも潜在的影響も認識していない。 |
抵抗 | プロジェクトによって生じる変化に抵抗感があり、不支持。 |
中立 | プロジェクト認識しているが、賛成も反対もしていない。 |
支援型 | プロジェクトを支持している。 |
指導 | プロジェクトの成功に対して積極的に取り組んでいる。 |
ステークホルダー関与度評価マトリクスでは「現在の関与度」と「望ましい関与度」を明記します。
C(Current)は現在の関与度であり、D(Desired)は求められる関与度です。
ステークホルダー | 不認識 | 抵抗 | 中立 | 支援型 | 指導 |
---|---|---|---|---|---|
情報システム部K課長 | C | D | |||
人事部L課長 | C | D | |||
営業部N氏 | C | D | |||
人事部M氏 | C, D |