プロジェクト完了報告書について

プロジェクト完了報告書(Project closure report)とは

プロジェクト完了報告書とは

プロジェクト完了報告書とは、すべてのプロジェクトスコープの完了を確認して、プロジェクトの終了を記録した文書です。
プロジェクトが作業完了の条件である納期・品質・コストをどれほど満たしているか周知する内容となります。

基本的にはプロジェクトマネージャが作成して、プロジェクトのステークホルダーに配布・報告します。
完了報告書や最終報告書と呼ばれることもあります。


プロジェクト完了報告書の内容について

報告書に記載する項目としては、以下のものが挙げられます。
・プロジェクト目標の達成状況
・最終成果物の性能・品質・機能
・プロジェクト作業過程
・プロジェクト計画と実績の差異

プロジェクトで対応できなかった課題については、引継ぎ可能な状態にするために記録します。
・残課題
・問題点への対応方法
・変更要求への対応状況

また、契約の順守状況や契約不適合責任の権利行使期間などの契約内容も記録しておきます。


契約遵守状況評価

契約不適合責任

契約不適合責任とは、売買契約や請負契約において引き渡された成果物や権利関係が契約内容に適合しない場合に、請負人が負うことになる責任のことです。
不適合が見つかった場合、請負人に対して成果物の修補や代替物や不足物の引渡しを請求したり、代金減額を請求したり、損害賠償を請求など行います。
従前、瑕疵担保責任と呼ばれていましたが、2020年4月1日施行の民法改正にて、契約不適合責任という名称に変更されました。

外部業者へ委託したソフトウェア開発で、納品後一定の期間内に発見された不具合を無償で修復してもらう根拠となります。
また、責任期間は「納品から1年」ではなく、原則として「不適合を知った時から1年」です(民法第566条、第637条第1項)。
そのため、受注者(ベンダー)は引き渡しからの最長10年間、不具合が判明したら対処できるように、要員やテスト環境を確保し続けなければなりません。


知的財産権の取り扱い

ソフトウェアにおける著作権とは、「著作物を創作した者」に対して与えられる権利です。
そのため、特段の取り決めがない場合には、外部委託によって開発されたプログラムの著作権は、原則として委託者(発注者)ではなく制作者(受注者)に帰属します。
プロジェクト完了時には、改めて契約内容に不備がないか確認する必要があります。

発注元が著作権を獲得したい場合には、請負契約書に著作権の帰属についての条項を設け、請負人との間で合意しなければなりません。
「著作権譲渡特約」や「著作者人格権の不行使条項」などがこれに該当します。


プロジェクトの振り返り

差異分析(Variance Analysis)

差異分析とは、プロジェクトの計画と実績を比較して差異の原因を把握し、経営課題や改善点を明確にする技法です。
プロジェクトマネジメントの実績報告のプロセスにおいて、スコープ・コスト・スケジュールに関して、ベースラインと実績の乖離を明確にするために使用されます。


完了報告会

完了報告会は、プロジェクトメンバーを招集して、プロジェクトで苦労した点や改善点について率直に議論する会です。
プロジェクトの完了を正式に周知して、プロジェクトメンバーを解放する契機になります。
また、プロジェクト作業で得た知識や教訓などを、次のプロジェクトに引き継ぐための重要なプロセスでもあります。


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