十二因縁について
因縁とは
因縁(いんねん)とは
因縁とは、あらゆる物事には「因=直接的な原因」と「縁=間接的な原因」があるという考え方です。
「因」とは、結果を引き起こす直接の原因であり、物事の内に存在する「原因」を意味します。
「縁」とは、外からこれを助ける外的原因であり、発生する「条件」を意味します。
因縁生起(いんねんしょうき)とは
因縁生起とは、「因=原因」と「縁=条件」があることで「結果」が生じ起きるという考え方です。
「生起」とは、生じ起こるという意味であり、自身に起こるさまざまな結果・出来事のことを意味します。
つまり、あらゆる存在や現象は独立して自己完結するものではなく、他の要因や条件によって生じるという考え方です。
縁起(えんぎ)とは
縁起とは、因縁生起を略した言葉です。
これは文字通りに「縁によって起こる」という意味になり、あらゆる物事は因縁によって生起するという考え方です。
一般的な意味での縁起とは「吉凶の前兆や兆し」や「物事の起源や由来」などを意味しており、仏教用語と異なる点に注意が必要です。
十二因縁について
十二因縁(じゅうにいんねん)とは
十二因縁とは、苦しみが発生するメカニズムを12の要素に分類した仏教の教えになります。
これは、最大の苦である「老いて死ぬこと」の原因は何かと連想していき、その原因を辿った経路となります。
そして、釈尊は苦の原因は「無明であること」と結論付けています。
比丘たちよ、縁起とは何か。
比丘たちよ、無明により行が起こり、行により識が起こり、識により名色が起こり、名色により六処が起こり、
六処により触が起こり、触により受が起こり、受により渇愛が起こり、渇愛により取が起こり、
取により有が起こり、有により生が起こり、生により老死が、愁悲苦憂悩が生じる。
このようにして、全ての苦蘊は生起する。
(パーリ仏典)
なお、十二因縁は経典や宗派によって、十二縁起、十二支縁起、十二縁生(えんしょう)とも呼ばれます。
また、宗派によって、因縁のそれぞれの意味解釈が若干異なる点にも注意が必要です。
| 因縁 | 説明 | |
|---|---|---|
| 1 | 無明(むみょう) | 真実を知らない事。過去に蓄積された煩悩で、迷いの原因となる。 |
| 2 | 行(ぎょう) | 過去の行為のこと。意思が行為を生み出し、認識を作り、未来を方向づける。 |
| 3 | 識(しき) | 認識のこと。行(行為)によって形成される意識や心の在り方。 |
| 4 | 名色(みょうしき) | 精神と身体のこと。名は「精神現象=心」、色は「物質現象=肉体」を意味する。 |
| 5 | 六処(ろくしょ) | 眼、耳、鼻、舌、身、意の六つの感覚器官のこと。 |
| 6 | 触(そく) | 触れること。外界から対象に触れること。 |
| 7 | 受(じゅ) | 知覚すること。外界から対象を感受すること。 |
| 8 | 愛(あい) | 欲望が生じること。仏教では、愛は欲望や煩悩のことを指します。 |
| 9 | 取(しゅ) | 執着のこと。生存への執着が最も激しく強いものである。 |
| 10 | 有(う) | 生きること。つまり、輪廻の中にあるということ。 |
| 11 | 生(しょう) | 生まれること。生は苦の始まりであること。 |
| 12 | 老死(ろうし) | 老いて死ぬということ。これこそが最大の苦である。 |
輪廻とは
輪廻とは、車輪が回転するように、人が何度も生死を繰り返すことを意味します。
仏教においては、生前の行為(業)によって、過去から現在へ、そして未来へと生まれ変わるという考え方をします。
輪廻から離れるには、原因を見極め、業を尽きさせることが必要だといわれています。