音楽理論_リハーモナイズ
リハーモナイズ(Re-Harmonize)について
ハーモナイズ(Harmonize)とは
ハーモナイズとは、メロディーにコードを付けることです。
作曲の過程として、メロディーに調和する和音を設定していくことをいいます。
リハーモナイズ(Re-Harmonize)とは
リハーモナイゼーションとは、メロディーは変えずにコードを変える事で楽曲の雰囲気を変えるアレンジ技法です。
コードを付け直す(再ハーモナイズ)することで、単純なコード進行を複雑化にしたり、単調なメロディーを感慨深く聞かせることもできます。
特にジャズでは積極的にリハーモナイズ(リハモと略されて呼ばれる)して独自性を表現します。
代理コード
代理コードとは、スリーコード以外に「T、D、SD」の機能を持つコードです。
代理コードを用いてコード進行を変更すると、楽曲の雰囲気を変えることができます。
例えば、メジャーキーのダイアトニックコードの代理コードは以下の通りです。
機能 | スリーコード | 代理コード |
トニック(T) | I | IIIm7, VIm7 |
ドミナント(D) | V | VIIm7-5 |
サブドミナント(SD) | IV | IIm7 |
Cメジャーキーのツーファイブ進行(II - V - I)であれば、それぞれを代理コードを用いることで様々なコード進行に変更することが可能です。
元のコード:Dm7 -> G7 -> CM7
リハモ例1:FM7 -> G7 -> CM7
リハモ例2:Dm7 -> Bm7(♭5) -> Am7
リハモ例3:Dm7 -> FM7 -> G7 -> Bm7(♭5) -> CM7
裏コード
裏コードとは
裏コードとは、ドミナントセブンス(V7)の代理コードとして用いることができるセブンスコードです。
ダイアトニックコードでないにもかかわらず、トニックへの解決(ドミナントモーション)として利用できるコードのため「代理ドミナント」とも呼ばれます。
裏コードは、ドミナント7th(Ⅴ7)から減5度(♭5th)のドミナントセブンスコード(Ⅱ♭7)が該当します。
元コード:Dm7 -> G7 -> CM7
裏コード:Dm7 -> D♭7 -> CM7
裏コードの仕組み
裏コードは、ドミナントセブンスコードと同じトライトーンを持っています。
例えば、Cメジャーキーにおいて裏コードは「D♭7」になります。
ドミナントセブンスコードであるG7(G-B-D-F)のトライトーンは長3度がB、短7度がFです。
裏コードであるD♭7(D♭-F-A♭-B)のトライトーンは長3度がF、短7度がBです。
トライトーンを形成する短3度と短7度の音程が裏返っていることが裏コードと呼ばれる所以です。
つまり、ドミナントセブンスコードと同じトライトーンを持っているため、トニックへ解決(ドミナントモーション)する仕組みとして利用できます。
ドミナントセブンスコードのトライトーンを代理することから、裏コードは「トライトーン・サブスティテューション」とも呼ばれます。
トライトーン(tritone)とは
トライトーンとは、「3つの全音」という意味であり、全音3つ分(半音で6つ分)の音を指します。
例えば、G7コード(G-B-D-F)の長3度「B」と短7度が「F」はトライトーンになります。
トライトーンはドミナントコードの半音下、もしくは完全4度上の解決を促す効果があります。
G7コードの長3度は「B→C」へ、短7度は「F→E」へ行こうするため、トニックコードCM7へ落ち着く感覚を生みます。
モーダルインターチェンジ(旋法転換)
モーダルインターチェンジとは
モーダルインターチェンジとは、トニックを同一とするモード(スケール)から一時的に音を借りてくる事です。
転調と呼ぶには準備がなく、突然元に戻るようなケースがモーダルインターチェンジに当たります。
例えば、Cメジャーキー(Cアイオニアン)のダイアトニックコードに存在しないが、Cドリアン(A♯メジャーキー)、Cフリジアン(G♯メジャーキー)では存在するコードを使った場合にモーダルインターチェンジしたといいます。
しばしばWEBサイト上では、モーダルインターチェンジを借用和音(特に同主調転調)のことと記載されることがありますが、正確とはいえません。
モーダルインターチェンジは借用和音の理論を包括する概念です。
しかしながら、元のキーとの類似性が全くないと不協和音に聞こえてしまうのも事実です。
モーダルインターチェンジは、サブドミナントマイナーとセカンダリードミナント(音楽理論_転調を参照下さい)として実現されることが多いと言えます。