プロジェクト資源マネジメントについて

プロジェクト資源マネジメントとは

資源(リソース)とは

プロジェクトにおける資源とは、プロジェクト活動の成果物を生む出す元となる有用物のことです。
プロジェクト資源には「人的資源」と「物的資源」の2種類があります。

人的資源(Human Resources)とは、プロジェクトを実施する要員のことです。
プロジェクトに必要なスキル・能力を特定して、その要員がプロジェクト遂行可能な資源であるか判断・確認します。

物的資源(Physical Resources)とは、人的資源以外の資源のことです。
具体的には、本番稼働環境、開発環境、作業スペースなどプロジェクトの成果物を生み出すために必要なモノ・機材が該当します。


プロジェクト資源マネジメント(Project Resource Management)とは

プロジェクト資源マネジメントとは、プロジェクト進捗のために必要な資源を特定し、獲得し、管理を行うまでの一連の活動を指します。
資源マネジメントの目的は、プロジェクトチームが適切な資源を、適切な場面で利用できることを確実にすることです。
アウトプットとして、「資源マネジメント計画書」を作成して、組織図や資源計画、役割担当計画、採用計画、研修計画といった内容を記載します。

PMBOKが提唱するプロジェクト資源マネジメントは、資源マネジメントの計画、アクティビティ資源の見積り、資源の獲得、チームの育成、チームのマネジメント、資源のコントロールを範囲として挙げています。
プロジェクトチームの作成だけでなく、チームの育成までを資源マネジメントとして扱っている点が特徴です。


アクティビティ資源の見積り

資源ヒストグラム(リソースヒストグラム)

資源ヒストグラムとは、プロジェクトで必要とする資源の量を一定期間単位で集計して書き表した棒グラフです。
一定の期間に対して資源の作業が予定されている時間数を可視化して、資源のばらつきを把握することができます。
(※ヒストグラムとは、いわゆる棒グラフです。)



資源平準化(リソースレベリング、Resource Leveling)

資源平準化とは、人的な資源の制約に基づいて、作業の開始日と終了日を調整する技法です。
プロジェクトを円滑に遂行するためには、プロジェクト期間を通じて要員数を一定に保つように配置すると効果的です。
そのために、作業順序を調整したり、特定要員への過負荷を軽減したり、作業ピーク時期の解消など平準化を実施します。

資源ヒストグラムを作成して、ばらつきのないグラフになれば、資源平準化に成功しています。
なお、資源平準化はクリティカル・パスを変更する原因となることが多いため、注意が必要です。


資源ブレークダウンストラクチャ(RBS:Resource Breakdown Structure)

資源ブレークダウンストラクチャーとは、アクティビティが必要とする資源を区分と類型別に階層表示し、必要な資源を明確にする図法です。
例えば資源タイプを大きく「人、資材、装置」の3つにわけて、「人」を機能A担当、機能B担当、テスターなどの役割にブレイクダウンするイメージです。


資源カレンダー

資源カレンダーとは、アクティビティの所要期間を見積もる際に、アクティビティが必要とする資源を利用できる作業日及びシフトを取得する示した図です。
資源カレンダーにはプロジェクト期間中における要員の作業可能時間や休暇、および機器の使用予定などが記入されます。
場合によっては、必要に応じて能力(性能)、種別、量、可用性などの情報を含むこともあります。
アクティビティの所要期間は、資源カレンダーの情報を踏まえて見積もられます。


資源の獲得・プロジェクト組織の体制

組織ブレークダウンストラクチャ(OBS:Organization Breakdown Structure)

OBSとは、プロジェクトの全体計画を細かい作業に分割し、担当する人員を配置した構成図です。
基本的に、OBSはWBSの派生物として作成されます。(原則的にWBSの作成が前提となる。)
WBSで細分化したワークパッケージに組織や人員を割り当て、責任や指揮の系統に従って配置するとOBSが出来上がります。
OBSを作成するメリットは、プロジェクト組織の構造を明確にして、各作業の責任(完了・承認など)の所在を明確にすることです。


責任分担表(RAM:Responsibility Assignment Matrix)

責任分担表とは、要因の役割と責任を作業別に計画した表のことです。
一般的には、縦軸に作業(あるいは成果物、機能)、横軸にリソース(要員や担当組織)を取った2次元マトリクスを作成し、升目に担当区分(責任、役割)を記入します。
多くの場合に、責任分担表の表記としてRACIチャートが利用されます。


RACIチャート(RACI図)

RACIチャートとは、責任分担表の一つであり、チーム・メンバーの役割と責任を表す図のことです。
要員の役割は、「Responsible:実行責任」、「Accountable:説明責任」、「Consult:相談対応」、「Inform:情報提供」の4つに分類します。



内外製分析(Make-or buy analysis)

内外製分析とは、内製と外製の双方のメリット・デメリットを比較して意思決定を行う分析手法です。
コストだけでなく、スキルの有無や気密性により内製が可能であるかなどを検討します。


チームの育成・マネジメント

チームの育成とは

プロジェクトチームの育成は、継続的にプロジェクトチームのメンバーのパフォーマンス及び相互関係を改善することを目的に実施します。
人的資源であるチームメンバーの育成やマネジメント方針については、チーム憲章や資源マネジメント計画書に記載してプロジェクト関係者に周知します。


チーム憲章(Team Charter)とは

チーム憲章とは、チームの目的・目標や運営方法などを記述したプロジェクト文書です。
チームの意思決定の方法、コンフリクト解消のための方針、コミュニケーションのガイドラインなどを定めます。
チーム憲章を作成することで、チームはより組織化され、各メンバーが自分の役割と責任を理解し、効率的で協力的な作業環境を作ることができます。


タックマンモデル

タックマンモデルとは、組織のあり方を誕生から解散までの発展段階に分けて考える概念です。
心理学者のブルース・W・タックマンによって1965年に提唱されたチームビルディングに関する考え方のモデルです。
以下の5段階のステージで組織作りを行います。

段階 説明
Forming(形成期) 形成期は、チームが新たに結成された初期段階であり、メンバー間の相互理解はまだできていない状態です。
チームリーダーは、チーム全体の成功ビジョンを共有して、目標達成に向けた動機付けを促します。
Storming(混乱期) 混乱期は、異なる意見によって混乱や対立が起こる段階です。
チームリーダーはコンフリクトマネジメントを実施して、議論を重ねながら相互理解を深めるように促します。
Norming(安定期) 安定期は、チーム内の役割分担が決定して、メンバー間に信頼関係が築かれていく段階です。
チームリーダーは日常的な議論の内容を把握し、必要に応じて適時に軌道修正を行うことが求められます。
Performing(遂行期) 遂行期は、チームとしてよく機能して、課題に効果的に対処できる段階です。
チームリーダーの役割は、この成熟した状態をできるだけ長く維持することにあります。
Adjourning(解散期) 解散期は、目標を達成してチームを解散する段階です。
チームリーダーは、メンバーへ激励や感想を述べて、チーム活動を締めくくれる雰囲気作りをします。

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