WBS(Work Breakdown Structure)について

WBSとは

WBS(Work Breakdown Structure)とは

WBSは、プロジェクト全体を細かな作業(Work)に分解(Breakdown)した構成図(Structure)です。
プロジェクトのスケジュール管理に使われる手法の一つで、作業分解構成図とも呼ばれます。

WBSを使用する目的は、プロジェクトスコープを階層に分解して、作業を管理可能な大きさに細分化することです。
複雑な作業を単純な作業にブレークダウンし、構造化して、プロジェクトの範囲を可視化します。
これにより、それぞれの作業に必要な人員やコストを割り出し、全体の作業計画を決めていくことが可能となります。


(上記はMicrosoft ProjectのWBS例。右側にガントチャートが表示されています。)


ワークパッケージとは

ワークパッケージとは、WBSにおいて管理する意味のある最小の単位にまで分割された作業要素を指します。
言い換えれば、ワークパッケージは成果物を生成できる小さな作業単位のことです。
WBSでは、ワークパッケージが進捗コントロールの最小基本単位となります。
個々のワークパッケージに対して、必要な工数や日程が割り当てられ、プロジェクト全体の枠組みを形作っていきます。


アクティビティ(活動)とは

アクティビティとは、ワークパッケージを完了するために必要な作業要素のことです。
複数のアクティビティが完了することでワークパッケージが完了し、成果物が生成されます。
WBSでは、ワークパッケージをいくつかの具体的な作業としてアクティビティに分解して、アクティビティの実施順序を明確にして、責任担当者や実施組織などのリソースを割り当てます。


WBS関連用語

WBS辞書とは

WBS辞書とは、WBSの各要素に関する意味や作業内容などを定義したドキュメントのことです。
WBS辞書を用意することで、作業の概要を把握しやすくして、プロジェクト内での共通認識を作ることができます

WBS辞書の書式や記述項目に規定は特になく、EXCELやスプレッドシートなどに一覧記載したものが一般的です。
主な項目としては次のようなものが挙げられます。

  • WBS識別コード
  • 担当部門・担当者
  • 作業内容
  • 成果物
  • スケジュール
  • 予算・コスト見積もり
  • 必要となるリソース
  • 前提条件・制約条件
  • 受入れ基準(完了基準)

標準WBSとは

標準WBSとは、適用する内容をあらかじめ作成しておいた、テンプレートとして使用するWBSのことです。
各プロジェクトで独自フォーマットのWBSを作成していると、管理における粒度のばらつきやタスクの抜け漏れが発生するなど、進捗把握ができなくなる場合があります。
過去の実績などからプロジェクトで想定されるタスクを洗い出しておき、標準のテンプレートとして利用することで、複数プロジェクトの管理レベルを合わせることが可能となります。


ローリングウェーブ計画法(Rolling Wave Planning)

ローリングウェーブ計画法とは、作業の進み具合に合わせて計画を段階的に詳細化する方法のことです。

「将来のことは分からない」ことを前提に、予測がつきにくい将来のことは大まかな計画で留め、直近の作業の計画を詳細に検討するという段階的詳細化の考え方です。
つまり、将来実施されるサブプロジェクトについては、上位レベルのWBSにとどめておき、詳細が明確になってから、要素分解して詳細なWBSを作成します。

ローリング・ウェーブ計画法という名称は、波は遠くの方は大きく見えるが、海岸近くでは細かく砕け散ることから、「遠くのものは大雑把に、近くのものは詳細に」というところから来ています。


備考

WBSとガントチャートとの違い

WBSはスコープを特定するものであり、ガントチャートはスケジュールをステークホルダーと共有(管理)するものです。
WBSを基にして、ガントチャートやPERT図に展開することでプロジェクト管理を効率化していきます。


WBSが機能しない場合がある。

情報に過不足がある場合、WBSは無意味なものとなります。
単純に思いついた作業を列挙して、それらしいスケジュールを置いても、工程ごとの粒度がバラバラなため、プロジェクト進むにつれて抜け漏れが発覚することになります。
抜け漏れや情報不足によってスケジュールのズレが生じ、WBSと現実の作業状況の乖離が発生することが多々あります。


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